自慢の船を安全な生地でもっと豪華に!船舶内装難燃基準について
椅子張り生地、ビニールレザー(フェイクレザー・合皮)の中で「船舶内装難燃基準」としているものがあります。船舶においての難燃性とは、一体どのような基準なのでしょう。国際機関の規定と基準、及び国内基準について解説します。
海上においての安全のためのSOLAS条約
クルーザーや旅客船、フェリーなどの船内は住宅同様に壁紙や床材などが使われています。また、カーテンやカーペットなどのファブリック製品、ソファなどの布張り家具、寝具など可燃性のものが多くあります。
1912年に起こったタイタニック号海難事故は映画にもなり、ご存知の方も多いと思います。
1914年に海上における人命安全のための条約が国際会議にて採択され、その後、内容の強化や改善を重ね、1974年に国際海自機関(IMO)により現在の「SOLAS条約」が締結しました。
SOLAS条約では、船舶の安全な構造や設備についての基準が定められています。
可燃性材料の使用を制限し、船舶内の特定区画内で使用するカーテンや布張り家具について、容易に着火しないことや火災が広がりにくい素材であることを規定しています。
国際船舶には、世界で同等の防炎性能を得るため試験方法を統一する必要があり、IMOでは試験方法を制定しました。このIMOによる火災試験方法をFTPコードと言います。
SOLAS条約締約国である日本も、船舶に使用する製品を承認する際にはFTPコードを用いなければなりません。
日本でも豪華客船が製造されるようになった現在では、認定試験機関である製品安全評価センターにより、火災試験が行われています。
また、国内船舶においては、日本国内の船舶安全法に基づいて防炎基準が制定されていますが、その基準は国際航海をしない旅客船などの船舶に対しても、SOLAS条約に準拠する内容になっています。
FTPコードについて
布張り家具の火災試験には、タバコ試験やプロパン炎試験があり、カバー材や内張り生地、詰め物についても行います。
試験では、布張り座席を使用中にタバコの吸いかけやマッチの火が誤って接触したことを想定しています。
タバコ試験では、定められた室内環境で火のついたタバコを試験体に接触させ、1時間の間に表面・内部の詰め物にくすぶりが進行しているかを確認します。
プロパン炎試験は、バーナーを使用して約20秒間接炎させ、120秒経過後に表面・内部の詰め物にくすぶりや炎があるか確認します。
椅子張り生地・ビニールレザーの
船舶内装難燃基準
椅子張り生地、ビニールレザーには、シンコールのサザンXなど、船舶内装難燃基準をクリアしたとされている商品があります。
これらはメーカー独自の難燃性試験を行い、サザンXはタバコのくすぶりとブタン炎の試験に合格しています。
ただし、実際に布張り家具として船舶での使用する場合は、それに準じた試験を改めて行う必要がある旨が記載されています。
消防法で義務付けている防炎性能のある繊維製品を防炎物品と言い、病院やホテルなどに使用するカーテンが良い例です。
法規制はないけれども、人命安全のため防炎性能を有することを行政指導しているものを防炎製品と言います。防炎製品には、寝具類、襖紙、衣服、ソファなどの布張り家具も含まれています。
このように椅子張り生地、ビニールレザーも防炎性や難燃性の高いものが求められ、特に船舶内装燃焼基準を満たしているものは、その性能がより高く、さまざまな用途において安全に使用することができます。
ビニールレザー
(フェイクレザー・合皮)
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