日本の塗料の歴史

DIYペイントの豆知識日本の塗料の歴史

日本の塗料の歴史は古く、漆塗りの副葬品が9,000年前の地層から発見されています。その後、柿渋などの塗料が江戸時代に一般的になった後、ペリーの来航で大きく日本の塗料の歴史は変わります。





 
始まりは、植物性塗料だった
始まりは植物性塗料
 

日本の塗料の歴史をさかのぼったとき、始まりは何だと思いますか?想像できる方も多いでしょう。現代でも使われている、漆。ウルシからとれる樹液を塗料にして作った漆が、日本最古の塗料です。

遺跡から、今から約9,000年前に作られた漆塗りの副葬品が発見されました。これが、現在存在する日本最古の漆塗りです。この日本最古の漆塗り製品が、発見されたのはなんと2,000年です。現在から17年前と、最近の発見です。

これが発見されるまでの、日本最古の漆製品は約5,000年~6,000年前の製品が最古のものでした。そして中国最古の漆製品が6,000年~7,000年前のものが最古の漆製品でした。すなわち中国での発見のほうが古く、漆は中国から伝来したものと言われていました。

しかし17年前の調査で発見された漆製品により、植物としてのウルシは、日本にも自生していたと言われています。



 

漆塗りとウレタン塗装

自宅で、漆製品を使っていますか?

純粋な漆を使って塗られた漆器と呼ばれる食器は、技術を持った職人と純粋な漆の塗料で作られ、結果、高価なものが多いです。現在市場には、漆器風の見た目、しかし塗装は安価なウレタンなどで塗られた食器が多いです。

9,000年前から使われている漆の塗料は、縄文時代から、さらに弥生時代~大和時代、飛鳥、奈良、平安時代にわたり使われ続けます。食器だけでなく、工芸品や建築にも使われました。





 
江戸時代になり出回ったとみられる塗料
江戸時代になり出回った塗料
 

江戸時代になり、漆以外にも塗料が出回ったとみられています。木材の防腐作用をもつ柿渋や、数種の材料を調合した塗料も出回りました。

例えば膠(にかわ)や、乾性の油に、松煙墨やベンガラなどの顔料を調合したものです。膠とは、動物や魚の骨や皮から抽出したコラーゲンやゼラチンを主な成分としたものです。

乾性の油とは、桐からとれる桐油や、えごま油です。傘に塗られ使われることも多く、観光地で売られる番傘には今でも使われています。

松煙墨とは、漢字の通り、松を燃やして出た煤のことです。塗料として建物を塗る用途のほか、防虫・防腐効果が付与できます。

ベンガラとは酸化した鉄のことで、日光で退色することなく経年変化に強く、無害です。現代でも人気の染料として使われています。





 
黒船は塗装の歴史も動かした
黒船は塗装の歴史
 

塗装の歴史も、ペリーの黒船来航によって変化を見せます。
アメリカでは大変知名度の低い人物ですが、1853年、浦賀に来航し日本海国を求めたペリーは、日本の塗装の歴史にも変化をもたらしました。

ペリーの黒船には日本で使われていなかった油性の調合ペイントが船の内装に使われていました。

木造の船は、黒船と呼ばれるため外観は黒く、ペイントは木から抽出した木タールやピッチをつなぎとして作られた塗料が使われていました。この塗料は防腐剤として有効です。



 

日本初の塗装工場

幕府は、ペリーらの使節団と調印するための建物を、様式ペイントで塗るように命じました。しかし、渋塗職人の町田辰五郎らは、命じられたものの当時の日本には油を調合させる技術がありませんでした。

最終的に様式ペイントを黒船から提供してもらい、塗装しました。
これをきっかけに、1866年の横須賀の造船所建設の際には、塗師所という日本初の塗装工場が作られました。





 
塗装の近代史
塗装の近代史
 

1860年代より主にイギリスよりペイントを輸入し、建築だけでなく、船舶・鉄道・汽車などに塗装していました。

1881年には日本初のペイント会社である光明社(現在の日本ペイント株式会社)が設立されました。油性調合ペイントをつくり、海軍の船舶用の塗料の製造などを筆頭に研究開発を進め、明治後半には、塗料の輸入はごくわずかになりました。

有名な鹿鳴館をはじめとする木造洋館建築物の内外に、油性調合ペイントが塗られています。塗料だけでなく、はけ塗り、へら付け、へらしごきなどの塗装の技術が開発され、技能の向上につながりました。



 

太特許の第一号

ここで突然ですが、日本における特許の第一号が何かご存知ですか?

1884年に認定された、「錆止塗料及び其塗法」という、堀田瑞松の生漆をベースとし柿渋や鉄粉などを素材にした塗料と塗装方法に関するものです。塗装の歴史は、特許の歴史にもつながります。

第一次世界大戦後になると、アメリカで硝化綿ラッカーという速乾性の光沢塗料が作られ、フォード社の自動車の塗装にも使われました。日本にも輸入されるようになります。






 
昭和時代以降の塗料
昭和時代以降の塗料
 

昭和初期にはフェノール樹脂、フタル酸樹脂が開発され、合成樹脂塗料のさきがけとなります。

第二次世界大戦中は、塗料や塗装に大きな進展はありませんでしたが、大戦後の1950年ころを境に歴史が動きます。

1948年には日本塗料工業会が設立。51年頃にはメラミン樹脂・ビニル樹脂・エポキシ樹脂・ポリエステル樹脂などが開発され、本格的な合成樹脂塗料の時代に入ります。

また、55年以降は日本の高度成長の波に乗り、塗料の生産量も大きく増加しました。それに応じて塗料の品質改良も進みます。



 

日本の塗料を海外へ

1973年と82年には2回のオイルショックもありましたが、1990年に国内の塗料生産量は220万トンと、これまでの最高を記録しました。

90年代初めからのバブル崩壊を経ながらも、近年は発展する中国や東南アジアを中心に日本の塗料メーカーは国内にとどまらず、海外に進出しています。

その後日本の塗料メーカーは海外での塗料生産量を増加させ、2013年には224万トンに達しました。




 
進化し続ける日本の塗料

現在、国内塗料は遮熱塗料や、エコや自然エネルギーに関連する分野で需要を伸ばしていますが、国内の塗料生産量は海外での生産量よりも低い状況が続いています。
2015年は164万トン、2016年1月から10月までの塗料生産量は136万トンです。

化石原料を主原料としない塗料や、油性で有害な溶剤を使わない塗料など、自然環境や人体に配慮した塗料の開発や普及が進められています。


日本の歴史と紐づいて、私たちの生活とも大きくかかわっていることがわかっていただけたでしょうか?国の発展とともに、塗料の歴史も大きく発展、変化してきました。

車にも建物にも家具にも、多くの場所で多くの塗料が使われています。生活と密接にかかわっている塗料に、興味関心を深めてみませんか?








 

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